現場で使える熱電対入門 -その1-

第1回|なぜ今さら「熱電対」なのか?――温度計測の“当たり前”を疑う

電子機器、自動車、産業機器――分野を問わず「温度」は最も基本的で重要な物理量の一つです。その温度計測において、最も広く使われているセンサが熱電対です。

一方で現場では、

  • 「測定値がどうも信用できない」
  • 「同じ条件なのに毎回温度が違う」
  • 「レビューで“その温度、本当に合ってる?”と突っ込まれる」

といった悩みが後を絶ちません。

本連載では、こうした違和感の正体を熱電対の原理・使い方・限界の観点から解きほぐし、「その温度がなぜ信用できる(あるいはできない)のか」を説明できる状態を目指します。


温度は“簡単に測れる”と思われている

温度は電圧や電流と比べると、直感的で分かりやすい量に見えます。測定器を当てれば数値が出てくるため、「測れて当然」「合っていて当然」と思われがちです。

しかし実際には、温度計測は

  • 測定対象とセンサの接触状態
  • 周囲への放熱・吸熱
  • センサ自体の温度

といった要因に強く影響されます。

つまり、温度は“置き方・付け方・考え方”で簡単に変わる量なのです。


それでも熱電対が使われ続ける理由

問題が多いにもかかわらず、なぜ熱電対は使われ続けているのでしょうか。

理由は明確です。

  • 構造がシンプルで壊れにくい
  • 温度範囲が広い(低温〜高温)
  • サイズを極小化できる
  • コストが低い

特に電子機器や車載分野では、**「狭い・高温・過酷」**という条件下で使えるセンサは限られており、熱電対は現実解として選ばれ続けています。

一方で、これは裏を返せば

熱電対は“正しく使わないと簡単に嘘をつく”

ということでもあります。

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